《MUMEI》 アンダー ワールド何処までも鮮明に軽量化されたアバター。 鋭い刀、分厚い魔導書、光沢の目立つ銃。 視界に広がるのは膨大で美麗な世界。 俺が今踏み締めている芝生さえ、偽物とは到底思えない程に鮮明だ。 此処は、ミリオン ヘイム オンライン。 現代の最新技術を詰め込んだ、夢溺的オンラインゲーム。 従来のタッチパネルやテレビ画面の映像をコントローラーで操作するゲームとは違い、自らの意識をそのままゲーム内のアバターに移して、行動する。 その技術が海外で公開され、日本は一年遅れで発売された。 そして、販売から五時間で日本全土のミリオンヘイムオンラインゲームが売り切れた。 各地のゲーマー達がここぞとばかりに買いに行き、実物を入手すると直ぐさま家に帰り、ネットワークに接続し、プレイした。 あまりに一斉に接続した為に、ネットワークが応答しない、という内容の苦情が殺到したらしい。 年の割には多くのゲームをプレイした俺だが、このオンラインゲームを知った時、本当に泣きそうになるほど喜んだ。 俺がそのゲームを知ったのは、運良く海外でも発売されていない時期だったので、躊躇わず貯金を叩いて海外から予約し、取り寄せた。 届いた初日から、家に居る時はプレイしているか寝ているか状態だったので、日本で並んで買った人よりも、一年分長くプレイした事になる。 レベル制限は無いので、俺は様々なレベル制限のある武器を装備する為に、相当にレベル上げに力を入れた。 日本で買った人がオンラインする頃には、俺は既に九十一レベルに達していた。 夢溺的オンラインゲームに、俺は震えた。 次へ |
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