《MUMEI》

虎ノ介は必死にあくびを噛み殺した。
高次元の生命体に進化するだの、宇宙意識との融合だのは、虎ノ介にとり単なる与太話にしか聞こえなかった。
アラハバキだかアバラボネだか知らないが、元々俺はその血筋の人間でも無い。
いつか師匠はアラハバキの血を引く者は、知らず知らずのうちに引き寄せあう運命だ、などとのたまっていたがそんなのはどうでも良い。
神だか宇宙人だか知らないが、それだけ人間より進化していても戦争がやめられないってんなら、そいつらも完璧な
存在じゃねえな。
まあ、悟り済ました奴らが一同に会して、愛想笑いを浮かべあう『千年王国』のイメージも、退屈であくびが出そうだが・・・・。
だかこの退屈な講義を聞いた後でなければ、新しい技を教えてくれないってんなら、三日三晩でも聞いてやろうじゃねーか。
全ては『白き翼を持つ者』への、血の復讐を果たすため!
そのための老人への弟子入りだった。
だから虎ノ介はあくびを噛み殺し、神妙な顔をして老人の話に耳を傾け続ける。

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