《MUMEI》 虎ノ介は必死にあくびを噛み殺した。 高次元の生命体に進化するだの、宇宙意識との融合だのは、虎ノ介にとり単なる与太話にしか聞こえなかった。 アラハバキだかアバラボネだか知らないが、元々俺はその血筋の人間でも無い。 いつか師匠はアラハバキの血を引く者は、知らず知らずのうちに引き寄せあう運命だ、などとのたまっていたがそんなのはどうでも良い。 神だか宇宙人だか知らないが、それだけ人間より進化していても戦争がやめられないってんなら、そいつらも完璧な 存在じゃねえな。 まあ、悟り済ました奴らが一同に会して、愛想笑いを浮かべあう『千年王国』のイメージも、退屈であくびが出そうだが・・・・。 だかこの退屈な講義を聞いた後でなければ、新しい技を教えてくれないってんなら、三日三晩でも聞いてやろうじゃねーか。 全ては『白き翼を持つ者』への、血の復讐を果たすため! そのための老人への弟子入りだった。 だから虎ノ介はあくびを噛み殺し、神妙な顔をして老人の話に耳を傾け続ける。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |