《MUMEI》

そして、この少女は、義藍騎士団の団長。

つまり、義藍騎士団の中で一番強い、という事だ。

「あの、私ついこの前始めたばかりなんですが、噂を聞きました!なんでも、誰にも言わないで、一人で難易度[の《牛頭鬼の逆襲》っていうクエスト攻略したって!」

難易度というのは、九分割されていて、それの八番目の難しさのクエストだ。この数字を聞けば判る様に、相当に難しいクエストだ。

これを聞けばハルはとんでもないプレイヤーだ。確かにハルはとんでもないが、俺は納得出来なかった。

「確かにみんなには言わなかったけど、一人じゃ無かったよ。」

「え?」

「この人…カケルと一緒に攻略したの。」

そう。

そのクエストはまだ世界中で誰もクリアしていなかったから、一緒に行こうと俺が言い、世界初のクリアを二人で勝ち取ったのだ。

本当に、噂は嫌だ。

「嘘だぁ〜!」

「え。本当なんだけどなぁ。」

ハルは少し面白そうに俺をチラリと見てから口許を隠しながら、クスクスと笑った。

少女達に関しては、俺を人差し指で差しながら高らかに笑っている。

「ほんとだって!ハルも何か言ってくれよ。」

「私はちゃんと伝えたけど。その締まりの無い顔がいけないんじゃない?」

先程の仇返しとでも言うように、ハルが俺を貶した。

すると少女達はまた笑いだした。
俺的には勘弁して欲しいが、ハルの機嫌は良くなったので、まあいいか、と笑ってみた。

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