《MUMEI》
4.十年は夢のよう 千年は一瞬の光
その頃まだ動植物が豊富だった古代東北で、「アラハバキ族」は狩猟や果樹の
栽培をして生活をしていたらしい。
彼らの狩りの方法は独特で・・・・これも虎ノ介に言わせれば与太話の類いだが・・・・一種のテレパシー能力で獲物と意識を同化させる事で誘導し、脳内のエンドルフィンを操作する事で、獲物は苦痛を感じる事のない催眠状態の中で、
彼らに仕止められたという。
彼らは必要最小限の殺生しかしなかったので、急激に獲物が減るなどという事もなく、午前中に狩りをすると午後には
修行や瞑想、文化などに親しみ、余裕のある生活を送っていたようである。
こうしたアヌンナキのエンキ派の末裔と、古代東北の人々の混血が築いた楽園も、四世紀頃に大和王権がちからを持ち始めると、繁栄の陰りを見せ始めた。
近代文明に通じる大和王権の文化と、アラハバキ族の文化は異なっていたが 、
共存共栄していた時期もあったようだ。
しかし異能の存在を許さないのは、人間の業なのか?
やがて大和王権の支配者達は、得体の知れない超能力を持つアラハバキ族に怖れを抱くようになっていった。
怖れは反発を、憎悪を生む。
また日本列島の中央集権化は、時代の波でもあり、アラハバキ族はその中で異物と化しつつあった。

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