《MUMEI》 ファーテスト スプリング俺が今滞在している街・シュデインには、有名なクエストがあった。 《難攻不落》という名のクエストだ。 内容は実にシンプルで、シュデインの南南東にあるタブラ山脈の頂上に咲く《無月草》という薬草を使い、シュデインの町長の病を治せ、というものだ。 多少クリアまでの過程が長そうだったが、簡単そうだったし、内容と反比例した報酬に魅せられ、街を出て、南南東の洞窟を目指した。 結果は最悪だった。装備は、武器屋に行っていないにしてはまともな物だった。 筈なのだが、既に遅く、協会の美しい音色で目覚めた。 つまり、俺はクエストに失敗したのだ。 このクエストの難易度はU。俺の今のクエストの限界難易度はW。 信じられなかった。 持っていたジェルは半額になり、重宝していた回復薬は全て消え失せた。 俺は怒りのあまり目覚めたベッドを思い切り叩いてしまい、真っ二つに割ってしまった。 今の俺の戦闘力から考えれば普通の結果だったが、協会の僧侶は、目を丸くしていた。 僧侶と賢者はレベル制限が無い職業なので、当たり前だろう。 誰でも見れる他人のステータスは、名前、性別、レベルである。そして、この僧侶のレベルは六。 当然も当然の反応だ。 死んでも尚残っていたジェルで、ベッド代を支払う。思わぬ出費だが、仕方が無い。 僧侶は怯えた様に俺を協会の出口まで送り、俺が歩き出したと思うと直ぐに中に入っていった。 怒りで足下が荒くなる。 クエスト失敗など、初めての事だった。 無理めなクエストで積んだ経験は確かにあった。しかしそれでは《難攻不落》は到底クリア出来ないだろう。 何故ならあのクエストは、難易度Uと言うにはあまりにも豪華な魔物が登場していた。 難易度[で俺が過去に倒したボスクラスの魔物二体。そして魔方陣を扱う魔物が一体。 魔方陣を扱う魔物に関しては見たことも無かった。 レベル上げの為クエストは忠実にこなしていた俺が知らない魔物。 恐らくは、難易度X以上のボスクラスだ。 前へ |次へ |
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