《MUMEI》

トウコを見つめてた
でも、明確な答えを、トウコはくれなかったんだ

同じライン上に、俺は居るんだね
なら、トウコは悪くないね

また、変な答えを勝手に出して……
タクヤ、綺麗事は言わないよ
昔、エッチしてた相手なの、それなりにおもいもあったよ、それはわかってくれるよね?

うん………わかるよ
それはね、そんなに、気にしてないよ、俺

うん、おなじライン上じゃないよ
上手に言葉にするの、難しいから、思ったままに話すね
昔は人気者だったんだよ、アイツ…

みたいだね

私の見栄を満足させてくれたかな
話は面白かったし、サックスも上手くて
ズット好きって言ってくれてて
バレンタイン、あげたら喜んでて
恋愛ごっこかな?
………タクヤとは違うよ、ごっこじゃないの

わからないんだよ……

アイツにはね、何かしてあげたいって気持ちが、そんなに無かったの
楽しくデートして、たまにエッチして…
だから、泊まったこともないんだよ
一緒に勉強したこともないかなぁ
楽しいことしかしてなかったの…
わかる?

わからない……

タクヤの洗濯物、好きよ
料理も好き、
眠いときもあったけど、早く起きて準備しようって……

一緒に暮らしてるからだろ?

だから、アイツとは暮らせないんだよ
エッチは出来ても生活は出来ないの…
だからかな、多少身体、なんかされても
タクヤが捕まったりするよりマシだって……
でも、タクヤは死ぬほど嫌だったんだよね?

………言葉でごまかされてる気がするんだ
…信用してないって言われるかな?

親身になってたって言うけど
アイツ、死ぬって言ったの、止めなかったよ……
アイツを構成させようとか思ってないもん
邪魔されたくないだけなの
アドレスも、コの電話に入れてないよ

新しく買った電話を見せて、トウコが言ったんだ

なのに、俺達の家を教えたんだ?

え?!

姉が来たよ…

嘘?!

トウコじゃないの?
教えたの

知らないよ、わたし!
教えるわけないじゃない!

自分のこと、棚に上げて、トウコにアレコレ言うの、間違ってると思う
けど、消えないんだ、この、変なモヤモヤが……どうしても、消えないんだ……

タクヤ………

苦しいよ…

な、泣かないでよ、タクヤ…

初めだよ……こんな……どうしていいか、わからない…

タクヤ…

トウコが俺の手を握ったんだ

……苦しいよ

タクヤ!

トウコに抱きしめられた

ごめんなさい……

情けないね……俺……

そんなことない……そんなことないよ!

トウコも、こうなのかなぁ?
痛いのかなぁ………
なんなのかなぁ………わかんないよ…俺…

タクヤ………タクヤ!

トウコの、胸に抱かれた

なんか、疲れちゃったな…

そう、呟き、トウコにしがみつき
俺…泣いてたんだ

でも、トウコの、温もりは
とても優しくて
けど、…………この温もりは、無くなるんだって、思うと……

………カッコ悪いよなぁ…
けど、これが、俺なんだな…
トウコに、相応しくない……

そっかぁ、だからか……相応しくないから………嘘ばかりだから……

トウコの、真っ直ぐな気持ちを、真っ直ぐ見れないから………

悪いのは……俺なんだな…



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