《MUMEI》
引っ越し
作業服姿のトウコ

これでいい?

うん、押さえててね

壁紙を張ったんだ、トウコと二人で

タクヤ、器用だね?

アパートの管理もしてるんだ
職人さん、てつだったりして覚えてんだ

そうなんだ?
ねぇ、家賃高いの?

ん………どうなんだろう、お金は要らないって

え?

高くつくかもね、でも、気に入ってるんだ、俺
部屋はトウコに任せるからね
家具も買おうね

うん……ぇへ、なんか、新婚みたいだね

うん、楽しもう
新婚生活、ないよ、俺たち
今がそんな感じだから

え?……

まだ、漠然としてるけど、考えてこうよ
俺でいいならさ、トウコが

……………うん、なんか、ドキドキしてきちゃた……

親父さん……強敵だなぁ

くすっ、また、殴られたりしてね

佐久間さんから借りた家は
ヘンテコな建物なんだ

コンクリート打ちっぱなしの外見で
一回の前置き半分は、広い駐車スペースになってるんだ

真ん中に解団があって、その、左右はガレージと、物置

階段はむき出しで、
上がると玄関ドアが有るんだけど
駐車スペースの上は庭みたくなってて
二階に、庭があるんだ

玄関を入ると、大きな下駄箱
その奥はウォークインの、収納
コートなんかを掛けとくのかなぁ?

そして、玄関を上がり左手,
家の真ん中にダイニングキッチン

アイランドタイプで、壁のないキッチンなんだその奥がリビング

右手は、和室の客間

玄関の真ん中は吹き抜けの中庭見たくなってて
お風呂窓を開けると、その、中庭が見えるんだ

二階にふた部屋
そのひとつを寝室にするんだ

寝室の屋根は斜めになってて
天井に窓があるんだ
トップライトと言うらしい

作ってる途中で止めちゃったのかな?

お風呂とトイレは、業者に頼んだんだけど
普段付き合いのある業者さんだから

お風呂、テレビつきにしときましたよって
トイレも、堀込の棚を作ってもらったんだ
壁が凹んで棚になってるんだよね

トウコは凄いね、流石社長さんだねって言うけど
佐久間さんの後ろ楯なんだよね

リビングも、飾り天井で、ダウンライトが並んでるんだ
天井を照らすような、間接照明も付いてる

トウコが起きてなくちゃバテてた
モルタルを練ってたからなんだ

駐車スペースに、ポストをつけなくちゃって
レンガを積んで、モルタルで固定して

ペンキも縫ったんだ

なんだかんだ、いっしゅうかん掛かったかなぁ

家電を買いにいったとき
店員さん、値段交渉を東子とするんだ

奥さま、此でよろしいでしょうかって

奥さま、そのコトバニトウコ、うっとりしてたけど

もう少し、なんとかなりませんかぁ、って、値切ってた

お嬢様なのに、値切るなんて、したことないだろうに

ぇへ、得しちゃったね

俺の腕に、腕を絡め、トウコが言ったんだ

うん

ヤバイぐらい、ドキドキしてた、俺

トウコに夢中なんだって、再確認したような

連れて歩いてると、みんな、トウコを見るよなぁ
綺麗だもんなぁ、トウコ

なんで、俺なんだろう?
もっと良い男、たくさんいるのにさ

でも、離さない、
こんな、チャンス二度とないよ

そう、思うんだ


前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫