《MUMEI》

現在の俺のレベルで装備出来るものだったので、割って入る形になったが、口を出した。

俺としては早く終わらせたかった、というのも本音だが、お勧めを装備してみたいというのも本音だ。

「「………。」」

俺のそんな思いとは裏腹に、二人は口をあんぐりさせている。

見られ慣れていないからか、間が持たず、声を絞り出す。

「ど、どうしたんだ?」

「カケルって…今のレベルはいくつなの…?」

カナが顔を変えずに尋ねる。

「今?えっと…。」

ハルと同じ動きで右手の指輪からコマンドを出現させる。

「……ふむ。」

レベル欄をチェックし、一閃。

「三一かな!」

「「三一!?」」

二人揃って声を張る。なんだって言うんだ?

「カケル…そんな強いんだ…。」

ハルはこれでもか、と目を見開く。

「これ強いのか?人と話してなかったから全然わかんなかった。」

素でそう言うと、カナが呆れた様に深く溜め息を吐いた。

「あんた…凄いわね。細い体してレベル三一なんて。私、武器屋やってるけど、まだ一度も見たこと無いレベルだわ。」

感心してるのか、よく判らない反応だが、悪い気はしなかった。

「…私、弱いよね…。」

隣を見ると、俯いたハルが糸の様な声で呟いていた。

なんだかマズイ空気が…。

「いや、全然!俺だって弱いよ!レベル上げしかやってこなかったし…!」

慌ててハルに弁解を試みる。本当に俺は強くない。その事実を伝える為、必死で両手を動かした。

「そんなこと無いよ!絶対私、足手まといになっちゃうよ…。」

ハルが泣き出しそうになった気がして、俺は更に汗を吹き出した。

「俺はあの時会ったのハルで良かったって思ってるから!」

額に汗が溜まる。が、尚も笑顔を向け続ける。

「本当に…?」

「本当、本当…!」

二回、首を大きく縦に振ると、ハルは顔を上げた。

「うん…。私、頑張るよ。」

ハルが笑って、俺は大きな溜め息を吐いた。

「うん…。協力して、《難攻不落》攻略しような…。」

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