《MUMEI》

千夏から電話が有ったんだ
犯したことを、公にすると

つまんねぇ因縁つけて来んなよ、
喧嘩してーんだな、わかったよ!

そう答え、電話を切ったんだ

録音されてるかもしれないから、長話しは、無用だ

そして、強引に攻めた
恐喝されたとね

先方は、義理の息子の弟に、金を借りようとしただけだと、反論したけど
無駄な足掻きだよ

今の俺が恐喝と言えば、それが嘘でも警察は動かざる得ない

千夏の父親と付き合いのある、くみじむしょに家宅捜査が入った

調べあげてあるのさ、先手を打たないとね

金回りの悪くなった千夏の父親と、どこまで関わるのか、見極めてやる
まぁ、切られるだろうな…
余程の付き合いでもなければ、金にもならなくなった奴と、心中はしねーよ

案の定、組の名前を出しやがってと
千夏の父親が、仲良しだったヤクザに、脅されたそうだ

そして、倒産

ダンプカー1台持って、何処か他所の会社に持ち込みで仕事をし始めたそうだよ
住んでた屋敷も人手に渡るんだろうね

あえて、兄貴の家に呼び出したんだ

お前の敗因を教えてやる
俺に敬語を使わなかったからだ

肩を落としてたな

兄貴も何も言わない
言えやしないさ

千夏は、目を会わさなかったな

ちょうどよい、見せしめになったな
婆っちゃんの、親族も黙るだろう
身内すら、ぶっ潰す

俺にはちょうどよい機械だったのさ
婆っちゃんの孤独は、俺が引き継ぐんだ

………千夏が詫びを入れてきた、
何かの罠か?

寝るから、許して

そう言った千夏に

なんのこと?
女に不自由なんかしないぜ
夢でも見てろよ

そう、電話を切ったんだ

アホだな、千夏
自分が特別綺麗だとでも思ってんのかねぇ?

もっと、痛め付けてからだな
千夏とヤルならね

しかし、ヤリてーなぁ
どうせ、愛なんかねーんだ
ヤルだけの女…
都合のよい、女でいいんだ



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