《MUMEI》
▽
「そんなー、まだ二時間以上も先だなんて…」
「本当に申し訳ありません、事務所の方には連絡させて頂いたんですけど…」
スタッフらしい女の子と田中さんはそんなやり取りをしている。
どうやら他の出演者のスケジュールの都合で時間が変更になったらしい。
俺達以外にも早く来てしまった出演者も居るらしく、空いている楽屋に案内された。
「本当に申し訳ありません」
俺より若干年上っぽい女の子。
さっきから誤りっぱなしで何だか可哀想になってきた…。
「あの、気にしないで…二時間位あっという間だからさ、ほら…」
俺はバッグからDSを出して見せた。
そして撮影用の練習しぬいた、とびっきりの笑顔を作る。
すると女の子は緊張した様子からほっとした様な面持ちに変わり、そして赤くなりうつ向いてしまった。
・
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫