《MUMEI》









「そんなー、まだ二時間以上も先だなんて…」




「本当に申し訳ありません、事務所の方には連絡させて頂いたんですけど…」






スタッフらしい女の子と田中さんはそんなやり取りをしている。








どうやら他の出演者のスケジュールの都合で時間が変更になったらしい。






俺達以外にも早く来てしまった出演者も居るらしく、空いている楽屋に案内された。








「本当に申し訳ありません」








俺より若干年上っぽい女の子。






さっきから誤りっぱなしで何だか可哀想になってきた…。






「あの、気にしないで…二時間位あっという間だからさ、ほら…」

俺はバッグからDSを出して見せた。





そして撮影用の練習しぬいた、とびっきりの笑顔を作る。






すると女の子は緊張した様子からほっとした様な面持ちに変わり、そして赤くなりうつ向いてしまった。








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