《MUMEI》

「なぁ、高橋ぃ」

「ん?何?」


わっ、菊池くんだったのか……


放課後の帰り道、私は菊池くんに声をかけられた。


私の好きな人、菊池 達哉(きくちたつや)。


「なぁ、高橋って好きな人いんの?」

「えっ、何急に!」

「いや、いんのかなーって思って……」


菊池くんが気まずそうに頭をかいた。


「ぅ、うんいるよ」

「なんだ、そうなんだ……」


菊池くん、残念そう。


私の好きな人は菊池くんなのに。


まぁ、言わないけど


「ねぇ、菊池くんは好きな人いるの?」


知ってるけど、聞いてみる。


「うん、いるよ」


菊池くんはまっすぐ前を向いたまま答えた。


夕焼けに照らされた菊池くんの横顔は、

なんだかいつもよりかっこよく見えた。

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