《MUMEI》

ファクトリーの荷物を片付けたんだ

アユミの兄貴名義の電話も
援交オッサンのムービーやデータも

トウコ、きっと、情けないって、向こうの世界から、俺を見て、思ってるだろうなってさ…

自宅に戻ろう
トウコと作った家に
婆ちゃんが、ご子息の為に建てた家に

誰が居るのか、確かめてやる
冷蔵庫の中に、食材が入ってた

回りに聞いても、誰も知らないなんてな

俺とトウコの、家だ、化ってな真似はさせない

でも、鍵を持ってるのは、俺と、トウコ………だけだよな

婆ちゃんには、鍵貸したけど
………複製の出来ない鍵って、聞いてたけどな……

見慣れない車が停まってた

誰か居るんだな……ヒトの家に…

玄関を開けると、知らない人が二人、車椅子の少女を家に上げてたんだ

どちらさん?

俺の言葉に

タクヤさんですね、初めまして
佐久間、唯、といいます

車椅子の少女が、そう、答えたんだ

知らない人はヘルパーさんだったみたいで、
車椅子の、タイヤから
外出用のカバーを外してたんだ

軽く会釈をして、ヘルパーさんを見送った

ユイさんて、婆ちゃんの妹さんの、孫の?

はい……何かあったら、ここに避難しなさいと、言われてたんです

何かあったら?

………味方ですか?、タクヤさんは

ユイって、少女は、俺に、そう聞いたんだ



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