《MUMEI》
千夏の家族
バカだな、兄貴は…

見舞いの帰りに、千夏を乗せ、
千夏の実家に云ったんだ

成金趣味の家を人手に取られ、小さな古い家を借りてるようだった

農家か何かの家だったのかな?
手入れされてない庭に、父親のダンプが停まってた

なにしに来やがった!

父親が俺に怒鳴ったんだ

酔っぱらってやがる…

ぐおっ、き、貴様ぁ……

胸ぐらを掴み、引きずるように風呂場へ連れていき
頭から冷水を浴びせたんだ

止めなさい!警察を呼ぶわよ

妻が叫んでた

ちょうどいい、呼んでくれよ

離せ!離さんかぁ!

じゃぁかーしぃ!
酒なんか飲みやがって!

まて、電話するな、まてぇ!

アナタ、何を言ってるの!

止めろ、止めろ、警察はダメだ!

自分の妻の携帯電話を取り上げた、バカ親父の尻を蹴ったんだ

うごぉっ!

まるでヤクザね……
何の援助もしてくれないで、こんな酷いことを
私たちになんの怨みがあるって言うの!

ほざくな、ばばぁ

なんですって!
許しませんよ、訴えてやるわ!
千夏、警察を呼んで、早く!

いかん、警察はいかん!

アナタ、こんな奴、捕まえてもらえば良いのよ!
どうせ、なにもしてくれやしないわ!

早く呼べよ!クソババァ!!

もうかんべんならないわ、出てって!
アンタと話すことなんか何もないわ!
出てってちょうだい!

お母さん、お父さんね、主人を刺したのよ

なにをバカな事を

主人は入院したわ、どうする、
主人は、自分でつまづいて誤って、包丁で怪我したって、医者に話したけど……
疑われてるわ、時間の問題かも…

……アナタ……本当なの?!

あんにゃろうがよ、コイツに連絡取るのを、断りやがったからよ……
刺すつもりは無かったんだよ!
本当だ!

……事故よ……これは事故なのよ!

しゃらくせー、クソババァ!
早く警察呼べやぁ!!

は、は、話しいましょう

出てけって、言ったの誰だ?
全部、自分の都合か?お前さぁ、誰にモノ言ってるのか、わかってんだろうなぁ……

千夏、なんとかして、こなままじゃお父さんが……

お母さん………もう、止めようよ
私、疲れちゃったわ

千夏………何を言うの?

お父さん、せめて、自首して…

ち、千夏…父親を売るのか?!

………もう、私は出来ないわ、お父さん…

千夏は、そう言ったんだ
とても、悲しい顔して



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