《MUMEI》
不自由な二人
ほら、気を付けて降りろよ、捕まれ

でも、タクヤさん

大丈夫だから

うん

ぐっ、痛くない、痛くない……
お、重くなったか、ユイ…

何とか、階段を降りたんだ

そして、ソファーにユイを座らせた

薬箱、あったよなぁ、持ってくるから

タクヤさん、凄い汗だよ

脂汗かな……ズキンズキンだよ……
でも、笑顔を見せたんだ
大丈夫だよって

しみるかも、

うん

スプレーの傷薬、
痕がきれいになるらしい

膝から血がにじんでたよ、ユイ…

あとは、へーき

きゃぁぁ、パンツ見えちゃうでしょ!

少しスカートをたくしあげたら怒られたんだ

ズボンにしろよ……

き、着替えるの大変なの!
スカートの方が楽なの!

…上まで、這いずって上がってきたんだな
驚きだな…

少しね、足に力が入るの
短い間なら、捕まってれば立てるよ

凄いじゃんか

毎日ストレッチやってたよ
身体がね、少し楽なんだ

そっかぁ、良かった

治るかなぁ、わたし……

……お医者さん、言ってたよ
家のなかで歩くぐらいまでは、回復できそうだって
そしたら、着替えやトイレも楽になるよね

うん……車椅子、乗り降りが大変なの、
でも、手摺や、吊り手、タクヤさんがつけてくれたから…

引っ越さなきゃね
外に出れないよね、どっか見つけてあげるよ

………一緒に?
わたし、一人じゃ生きてけない…

静香……来てくれてるんだろ?

……………もう、来ないよ
タクヤさんが戻ってきたから

俺なんかより、役に立つだろ?

…………静香さん、忙しいから…

会話が途切れたんだ

ユイを、車椅子に乗せ

俺、少し寝るよ

そう言って、リビングに敷かれた布団に潜り込んだんだ



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