《MUMEI》

リビングに戻ったんだ

どうしたの?

うん、上で寝るよ、ユイの匂い、
やっぱさ、興奮しちまうから

私の匂い?

しっかり女の匂いだよ

え?…
あ、待って、二階に行かないで!

だってさぁ…

変な口論になったんだ
年の瀬に口論も嫌だし、折り合いついたのは、ソファーで寝るだったんだ

毛布と掛け布団を、ユイが車椅子で持ってきてた…
かなり、大変だよ……毛布はたためば何とかだけど…掛け布団は、引きずらなきゃ…

俺も足を怪我したりで、不自由さを感じたけど
ユイはズット……こんな思いをしてたんだよなぁ

すごく必死に持ってきたユイに

ユイの布団が無くなっちゃうよ

そう、優しく言ったんだ

私はへーき!

お布団に、香りがあるのにさ

俺の言葉に

あ……そっかぁ…

しょんぼりしたんだ

そんなユイを、車椅子から抱き上げようとしたんだ

あ………

ソファーに座り、ユイを、隣へ
そして、毛布を膝に掛けたんだ

勃起しても、許せよな

そして俺は、ユイの膝の上に頭をのせたんだ

重たいか?

ううん

ねぇ…女の子の髪、洗ってあげてたの?

ん、……そんなこともあったかなぁ

ヘルパーさんより、上手だったよ……

婆っちゃんも、風呂入れてたからなぁ、
なれかな

そうなの?!

うん、なんで?

エッチしたの?

アホかぁ……婆っちゃん、いくつだよ…

でも、裸見たんでしょ?

あのねぇ、歳考えなよ…

考えてるよ……
今は、倍以上離れてるけど、近まるもんね……
私が30になったら、タクヤさん、
47でしょ?

急に、俺のことに話をすり替えてた
!………冷たい、しずく…

………涙?………

事故の記憶……無いんだ…

そう話した、ユイの声が、明らかに泣いてる声だったんだ

俺…ユイを見ずに、聞いてた



前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫