《MUMEI》

「はい、これ。《怒号灰迅》と《洸雅の長剣》よ。どっちもレベルの割に上物だから大事に使ってね。」

「ありがとう、カナ。大事にするわ。」

「サンキュー、カナ。」

そう言い、カナに両手で渡された大剣を握る。
重量感が背筋を凍らせて、俺の前に堂々と横たわる。柄が大きく、持ち手は細く長い。刀身は太く長く、鞘は夕陽を浴びて橙色に耀いている。
右手で鞘を押さえ、引き抜く。

ジャリイィィィン

野太い金属音が武器屋に響く。申し分無い刃先の鋭さだ。鋼の刀身は酷く美しい。

「…すげぇ……。」

不意に言葉が漏れた。

刀を一層強く握る。まるで愛着のある刀の様に体に馴染む。初めてレベルの高い剣を装備し、感動を抑えきれなかった。

「カナ、ありがとう。とても良い剣ね。」

ハルは剣に夢中になりながらも、少し興奮気味だった。ハルも俺同様渡された剣が気に入ったようだ。

ハルの剣は俺の大剣と違い、持ち手も柄も刀身も全てが細長い。持ち手の中央に真紅の直線が描かれている以外は、全てが白銀に包まれている。まるでハルの髪そのものを武器化した様なしなやかさがある。
《洸雅の長剣》。その名の通りの長剣だ。

「二人とも、その刀でいい?」

剣に見入っている俺達に、カナは満足気に聞いてきた。

「「勿論!」」

重なった声に、俺とハルは顔を見合わせた。

「なんか、よくハモるわね。私達。」

「本当な!」

ハルは口元を隠しながら笑っている。かという俺は、後頭部に手を当て、大口を開けて笑っている


「……ハルばっかり…ズルいよ……。」


「え?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫