《MUMEI》 『ジッ…本日未明…ジジッが…謎のジッ…パキッ!』 非常用の電池を必要としないタイプのラジオが軽い音と共に砕かれた。 「どうなってるんだ!訳わかんねーぞ!」 ラジオの破片を靴の底で踏みにじる。 茶色に染められた頭髪と、細く整えられた眉毛。 今時の若者だ。 彼はクチバハヤト。 東京の街で、彼もまた混乱の渦の中にいた。 『専門家によると、この黒い雪の様な物は化学工場の廃棄物等による影響で…』 『現在、この雪の原因と人体へどの様な影響があるのか調査中です』 街にはだれもいなかった。 あれだけいつもは賑やかな東京の街でさえ、 この異変では静かさに包まれて当たり前だった。 黒い雪。 それが日本全土に降り出したのだ。 今日の朝からそれは止むことなく、 日本を黒く覆っていく。 時間は少し戻る 「ふぁー、寝たねたー」 ハヤトは、仕事場の事務所で仮眠をとっていた。 時刻は昼過ぎ。 ちょうど休憩が終わる頃だった。 携帯を手にとり、メールを確認する。 なにやら見覚えのないアドレスからメールが来ている。 |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |