《MUMEI》 「そういや、そんな事言ってたな…。アレ、一体なんだったんだ?」 「女の人が居たんだ…。」 「ん〜…女の人ねぇ…」 司はあの時の情景を思い返してみる。 しかし、あの場に居たのは自分達だけなのは百も承知。 そこは見晴らしが良かったし、いくら日が落ちていたといっても、たかが夕暮れ時。 見落とすなんて事は、まず有り得ないのだ。 だとすると、洋平達が見たのは幻か。 それとも本当に井上と洋平には見えていたか…。 「疑ってるだろ?」 「いや…、その…。」 「いいさ。こんな現実味のない事、信じろって言う方に無理があるし…。」 洋平はそれだけ言うと、黙り込んでしまった。 『信じる』と言えば確かに嘘になる。 洋平本人が言う様に、現実味がなさすぎるし、物的証拠もない。 ただ… さっきから、横でチラチラ目線に入ってくる写真はどうだ。 コレにだって、現実とは掛け離れた現象が起きているではないか。 「その話…詳しく説明してくれないか?」 そう、信じるか信じないかは、その後考えればいい。 「………あぁ。」 洋平はゆっくりと顔を上げた。 前へ |次へ |
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