《MUMEI》 黒の英雄と蒼き魔術師レアンが村を出て数日後荒野を確実に王宮に向けて歩いていた。 「……はぁ、ったく王宮はこんなに遠いのかねぇ……。」 レアンはぶつぶつ言っていた。 「しかし…あの時の竜がまた……争いを起こそうと……?」 レアンの前に突如青いローブを着た銀髪の青年が現れた。 「王国の異変を知りながら危険な王宮へ向かうのか………?」 蒼き魔術師、アセム・レイズは低くはっきりとした口調で聞いてきた。 「……だったら、何だ?」 レアンにはアセムの容姿に見覚えがあった。かつて共に戦ったアレス・レイズという魔術師にそっくりだったのだ。アセムはしばらく考える仕草をしていたが、顔を上げ、 「父上が申しておりました。必ず緋色の竜が再び王宮を襲う、と…。そしてその時には赤髪の英雄様にお仕えせよ。………貴殿がその英雄なのでは?」 「…………やはりな。」 レアンはアセムの顔をまじまじと見ていた。 前へ |次へ |
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