《MUMEI》

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「あれ…?」

「おう!偶然だなっ!!」

計画通り。待ち伏せ成功。

俺は片手を上げて、朝倉舞子に自分の存在をアピる。

なるべく自然に、わざとらしく見えない様に、細心の注意を払いながら。


「何、朝倉も今帰り?」

「まぁね。そっちは?」

「偶然!俺もなんだよ。」

嘘です、大嘘。
本当は全くの逆方向です。

「折角だし、一緒に帰んない?」


よ〜しっ!よく言えた!!先ずは第一段階クリアっと。

ここでオーケーが出れば…



「あ〜、私ちょっと急ぐんだ。」

「え…」

「だから今日はごめん!」


マジかよ!俺、わざわざ遠回りしたんだぜ?

こんなところで引いてなるものかっ!!



「じ‥じゃあさ、コレだけ貰ってくんない?」


俺は財布からチケットを取り出した。

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