《MUMEI》 黒の英雄と花咲く王都レアンとアセムが王都に着いたのは昼だった。しかし王都は静かで、人々の姿は無い。 「……王都は辺境地の村よりも民が少ないのか?」 レアンが尋ねると、アセムは戸惑った様子で 「…いえ…普段は花が咲き誇り、民は商売や学問に明け暮れていた。活気のある町だったのです。王宮の変事があってからこの様になってしまったのです。」 「………竜の情報でもあるかと思ったんだが……この様子だと無理だな。」 レアンは少し残念そうな顔をした。 「北の方角へ飛んで行ったという情報がありますっ!!」 励ますように力を込めてアセムが言った。首にかけていた緋色の宝玉のペンダントが揺れる。 「……ならその情報を頼りに行くしかないな。北……か。」 レアンは北の空を見上げる。それに倣ってアセムも空を見る。 「戦いの始まりだ……!」 レアンは決意するかのように呟いた。 前へ |次へ |
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