《MUMEI》 黒の英雄と緋色の宝玉アセムが放った封印はアレスのものより遥かに強力だった。ピクリとも動けない竜にレアンが太刀を振るう。竜は絶叫の後、動かなくなった。そして、いつの間にかレアンの腕のアザも消えていた。 「…これで…一人前………。」 シノがひとつ鱗を拾い上げ、呟くように言う。サラは竜を見上げたまま動こうとしない。 その後、洞窟の入り口まで戻ってきた。 レアンが自分の腕を見ながら、 「……解放されたのか……?やっと人間に戻れたんだな…!」 その目には涙が浮かんでいた。 「父……上。役目果たしました…。」 アセムは天を仰いで呟いた。 空は澄んでおり、吹き荒ぶ風は永遠の平和を王国に告げた。 前へ |次へ |
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