《MUMEI》 黒の英雄と可憐な皇女狼が出没するのはアカルネ王国の東隣の小さな国だった。ケヘル国。自然豊かな国だ。 ケヘルへ向かう大路をレアンたちは歩く。すると横に一台の馬車が止まった。中から現れたのは武装状態の少女だった。 「貴方達は竜を討伐された英雄様では?私はアカルネ王国第二皇女フラン・アカルネと申します。貴方達に同行するよう、父上に言いつけられました。」 父上……というのは新・国王のことだろう。前国王は竜の騒ぎのとき王位を退き、弟に譲っている。 「騒ぎが大きくなり過ぎだろ…。しかし、国王の命令なら……。」 レアンはアセムの顔を見る。アセムはこくりと頷いた。 「っ!ありがとうございます!足手まといにならぬよう、精一杯戦います!!」 華奢な皇女は満面の笑みを浮かべた。 前へ |次へ |
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