《MUMEI》
黒の英雄と竜との再会
フランとの出会いの後、3人は国境付近の大きな草原を歩いていた。
突如空を覆う影。
見上げるとあの時倒したはずの竜だった。
「なっ………!!」
レアンが剣を構える。すると竜はあの低い声で
『貴様達には謝らねばならぬな………。』
舞い降りてくる巨体。それはみるみる小さくなり、やがて白髪の少年の姿になった。
「あの狼風情に操られて、理性を失ったのは一生の不覚だよ………。キミがボクを斬った時、解放されたんだ………。」
少年は悔しそうに顔を歪める。
「狼………!?」
アセムが弾かれたように顔をあげる。
「再び姿を現したんでしょ?ならばボクも連れていって。それでボクの罪が償えるとは到底思わないけど…。」
少年の真剣な表情に憎き暴君竜の面影は無かった。
「二度あんなことしないなら…」
レアン達が許可すると、少年はパッと笑顔になって
「感謝するよ…!ボクのことはジン・ドラクーン(この地域の言葉で『忠節の竜』という意味。)と呼んでねっ!!」
「その名前お前の容姿からは似合わねぇ………。」
レアンのツッコミが大草原に炸裂した。

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