《MUMEI》
三日目
今日で休校は三日目。
私は自室でノートに書いたことを整理しながら、友人が来るのを待っていた。

東校生の一部は学生寮を利用している。
私と友人も利用しているので、遅刻はあり得ないのだが…
「遅い…」
待ち合わせ時間はすでに30分以上過ぎていた。

しばらくすると
「ごめんっ、待たせたっ!」
と、長身の女子生徒が入って来た。
「…ノックくらいしなさいよ」
「ええやん、別に
ウチらの仲やろ?」
彼女は鴉炭 佐鳥(あすみ さとり)。
近辺ではあまり聞かない関西風の訛りで話す彼女だが、幼なじみである私は、それが素では無くいわゆる『キャラ付け』であることを知っている。
「せっかくの休みやのに、部屋に籠って相談なんて、気ぃ滅入るわ…」
「事件を調べたいって言ったのは佐鳥でしょ」
私はベッドの上に勝手に寝転んでいる佐鳥を出来る限り冷ややかな目で見た。
「だってウチら、一応ミス研やし…」
ミス研とはミステリ研究会のことだ。
無論、非公式部であり、全生徒の部活動加入を目指す東校の記録上では、私は美術部、佐鳥は演劇部の所属となっている。
…もっとも、幽霊部員だが。
「…モチベーションが再確認出来たのだし、初めてしまわない?」
「せやな、こんなこと言ってても埒あかんし」

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