《MUMEI》

私はとりあえず、オーディオプレーヤーで音楽をかけることにした。
「稔(みのり)、まだこんなもん聴いとったんかい…」
スピーカーから流れ出した不安感を煽る音楽を聴いて、佐鳥が嫌そうな顔をする。
私が通信販売や某動画サイトから収集した『ホラゲーBGM集』である。
どうでもいいかも知れないが、稔とは秋崎 稔…私のことだ。
「…情報整理を始めましょうか」
私は佐鳥の言葉をスルーして話を進めることにした。
「……」
佐鳥が抗議の目で私を見る。
「何か文句でも?」
「いや…」

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