《MUMEI》 「オジジ。俺達は勝てるのか?」 古代の虎ノ介が、砂ぼこりの向こうの 軍勢を透かし見つつ言う。 すると虎ノ介の横で、淡々とした声が上がった。 「勝ち負けは時の運。問題は肉体の死では無い。精神が敗れる事だ」 虎ノ介は声の方を見る。 そこに白い長髪とあごひげで顔を覆った、年配の戦士が立っている。 一回りは若いが、現在の虎ノ介の師匠と似た雰囲気を持っている。 オジジが先陣に立つのも今回が最期だろう。 出来れば生き延びて欲しい。 そう虎ノ介は思う。 虎ノ介は周囲の他の味方の軍勢を見回した。 全身に刺青をした異相の戦士達の中には、疎−まば−らにそれさえ普通に見える、人間離れした姿の者が混じっている。 前へ |次へ |
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