《MUMEI》

「オジジ。俺達は勝てるのか?」
古代の虎ノ介が、砂ぼこりの向こうの
軍勢を透かし見つつ言う。
すると虎ノ介の横で、淡々とした声が上がった。
「勝ち負けは時の運。問題は肉体の死では無い。精神が敗れる事だ」
虎ノ介は声の方を見る。
そこに白い長髪とあごひげで顔を覆った、年配の戦士が立っている。
一回りは若いが、現在の虎ノ介の師匠と似た雰囲気を持っている。
オジジが先陣に立つのも今回が最期だろう。
出来れば生き延びて欲しい。
そう虎ノ介は思う。
虎ノ介は周囲の他の味方の軍勢を見回した。
全身に刺青をした異相の戦士達の中には、疎−まば−らにそれさえ普通に見える、人間離れした姿の者が混じっている。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫