《MUMEI》 1―邂逅1999年7月、恐怖の大王が降臨し世界は滅亡する。 ノストラダムスによる『滅亡論』は間違いであるとされた。 しかし、実際はそうではない。 恐怖の大王はやって来たし、世界は滅亡の淵に立たされた。 それを防いだのは世界の平穏の守り手……守護者(ガーディアン)である。 この例だけで無く、この世界は日々滅亡の危機に瀕している。 地球保全機構……ESOは、環境保護を目的とした非営利組織である。 しかし、彼らには違う一面がある。 世界中に存在する守護者たちの支援、統制を行っているのだ。 「……はぁ」 1フロアを全て使った広いオフィスの中、部屋に不釣り合いな少女がパソコンの画面を見て頭を抱えていた。 「何で年度が変わって2ヶ月も経ってないのに、特異点報告が50を越えてるんですか……」 ここはESO日本支部の最上階オフィス。 ピピッ……。 少女の左耳に付けられたインカムから、通話を示す電子音が鳴る。 『レイヴォネン様、日向一が到着しました』 「分かりました、通して下さい」 彼女はアリシア・レイヴォネン、ESO本社より派遣された日本支部長である。 通話が終わってすぐにオフィスの扉が開く。 「……相変わらず人使いが荒いな」 現れたのは不機嫌そうな顔をした青年だった。 前へ |次へ |
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