《MUMEI》

アヌンナキと人の混血は様々な異形の者も生み出したようだ。
先陣の数百名の戦士のうち、三分の一ほどではあるが、明らかに人間離れした
外見の存在が混じっている。
魚のような容貌をして、黄色い真円の瞳をした戦士の露出した肌には、刺青の
代わりに銀色の鱗−うろこ−が覆っている。
異常に腰が曲がって、ほとんど四つン這いに近い体勢の戦士の体は、獣毛に覆われていた。
その顔は狼のように下半分が突出し、
めくれ返った唇からズラリと並ぶ牙をのぞかせている。
他の者より頭がふたつ分抜きん出た大男は、たくましい腕を六本生やしていた。
こうした外見を持つ戦士達と比べれば、
全身に刺青をした異相の戦士達の姿も、普通の外見に見えてくる。
そしてこの異形の存在を含めた数百人の
隊列の後ろには、同じくらいの数の現役を退いたとおぼしき老人や、子供達の
集団がいた。
彼らの鎧は 先頭に立つ戦士達の物よりは簡素で、戦場にふさわしくなく、
虎ノ介達のように帯剣していない。
彼らは皆、巨大で何か見えない物でも持ち上げようとするかのごとく、まっすぐ前に伸ばした両手の掌を上に向けている。
顔をうつ向け額の血管さえ浮き上がらせながら、読経を思わせる言葉を一心不乱に唱え続けている。

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