《MUMEI》

「日向さん、ようこそいらっしゃいました
今回は単身でケルベロスでしたか
……あんまり無理しないで下さいよ?」
「無理させてるのは誰だよ!?」
青年……日向は不機嫌な表情のままで応接用のソファーに腰掛けた。
「で、わざわざ呼び出しといて何だよ
……まさかとは思うが、雑談がしたかった、とかじゃないだろうな?」
日向はアリシアを睨むようにしながら言った。
言葉の端々から殺気すら漂っている。
「それは素敵な提案ですね……暇だったら、ですけれど」
アリシアは楽しげに軽口で返す。
「早く本題に入ってくれないか?」
「日向さんはせっかちですね、この程度の冗談も楽しめないとは
……えぇ、わかりましたから、そんな目で睨まないで下さい
実は折り入ってお願いがあります」
「何だ」
「あなたもそろそろベテランですからね
新人教育をしていただきたいのです」
それを聞いて苦虫を噛み潰したような顔になる日向。
「魔王が頻出してるってのにそんなことしてらんねーよ」
「特異点は守護者を全稼働しなくとも対処しきれています
しかし、この先もそうとは限りません
余裕がある今の内に戦力を増やす必要があります」

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