《MUMEI》

「……理屈は分かるが俺は一応、最前線の守護者だ
もう少し稼働の少ない守護者に任せたほうがいいんじゃないか?」
「パワーレベリングという言葉を知っていますか?
元々はゲーム用語なのですが……」
「つまり、俺が魔王クラスの相手と戦うときに連れて行って経験を積ませろってことか」
日向はアリシアのセリフに割り込むようにして言った。
「分かってるじゃないですか
問題無いですね」
「足手纏いになるに決まってるだろ」
日向の言葉を聞いて満面の笑みを浮かべるアリシア。
「じゃあ、毎日特異点に派遣されるのと新人教育
どっちがいいですか?」
「毎日特異点って殺す気かよ!?」
「そんなことはありません
私は日向さんを信じてますから」
「その言葉が信じられねぇ……
分かった、受けりゃいいんだろ
受けてやるよ」
しぶしぶと言った様子で頷く日向。
アリシアはその言葉を聞いて深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
ピピッ……。
再度インカムに通信が入る。
『萩原光が到着しました』
「わかりました、通して下さい」
アリシアは日向に向かってにっこりと笑った。
「タイミング良く来たみたいですよ」

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