《MUMEI》

「ぁ、あの……」
自分の手を引く日向に対して声を掛ける光。
「どうした?」
走りながら聞く日向。
「痛い……です」
「す、すまん」
日向は慌てて手を離す。
光は胸に手を当て、呼吸を整えている。
「はぁはぁ……
……わたし、運動苦手なんですよ」
パタパタとシャツの襟元を煽っている。
「……この程度でバテるのか」
「文化部です……から」
光はその場にしゃがみこんでしまった。
日向はそんな彼女を呆れたように見下ろした。
「そんな状態で守護者として戦えるのか?」
「……知りませんよ、そんなの
怪我して病院にいたのに、無理矢理連れ出されて
わたしにどうしろって言うんですか」
あまりに投げやりな回答。
日向はそんな返事を予想していなかった。
「……もしかしてアリスから説明を受けていないのか?」
「病室から訳も判らず連れて来られました」
日向は頭を抱えた。
「なら、説明してやるから
一旦場所を変えるぞ」

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