《MUMEI》

「そうだ!ヤマタイ族の巫女達が神の
啓示を受けたのだ・・・・!あのおかたこそがこの列島の王になると!」
「そうとも!我らにはあのお方がいる!!太陽神の化身であらせられる、
あのお方が!!」
軍勢のあちらこちらで上がる声に呼応するように、人々の注意が後方の一角へと向けられていく。
そこだけ小高くなった小さな丘の上に、周囲のざわめきも知らぬげに、ひっそり佇−たたず−む数十人の騎馬軍団がいる。
この喧騒の中、乗っている馬さえもしわぶき一つ立てず、まったく存在が無いかのような沈黙がかえって不気味であった。
その一角にだけ、異空間を作りだしている騎馬集団・・・・。
陽光を背に負う姿は黒い影絵と見えて、にもかかわらず、その一角から尋常ならざる『気』が押し寄せて来るのを
虎ノ介は感じた。
「オジジ!あれが?!」
思わず横を向くと、
「む・・・・間違いあるまい」
オジジが額に深いシワを刻みうなづく。
「恐らく、あの中心にいる男であろう・・・・」
「あれが、カド(ミカド)族のジンムか・・・・!!」

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