《MUMEI》
黒の英雄と過去の栄華
「王様って何処にいるんだろうね?」
昼。王国時代に王宮があった町まであと少しのところでジンは不思議そうに言った。
王都にしては人が少ない。その上、家屋は廃墟と化していた。
「……酷いな。王が国民を見捨てて逃げたか?」
レアンが信じられないといった表情だ。
「ねぇ、何があったの?」
ジンが道端でこちらをじっと見ている少女に聞いた。
「……昨日の夜、王国の軍人が王様を逃がすんだって。建物を壊しながらあっちに行っちゃったんだ。」
少女はレアン達が来た方向とは真逆の方向を指差した。
「ありがとう。」
ジンが戻ろうとすると辺りの人が英雄だ、と騒ぎだした。
「ふーん、あんたって結構有名人?」
レアンがエストをからかうように言った。
「そんな訳がないだろう。あんたらが有名人だろう。」
さっさと行くぞ、とレアンたちを促して歩き出した。

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