《MUMEI》

週末、実家に言ったんだ

翔、食べないの?

母さんの手料理

胃袋大きくしたくないから、米は要らない

おかずを少しと、サラダだけ、食べた

どこにいるの?
漫画喫茶とかで寝泊まりしてるの?

姉貴が聞いてきたんだ

姉貴の声を聞くのも久しぶりだったかな

黙ってた……
父さんの車に帰りを待ってたんだ

そして、父さんが座ってから

話ってなに?

父さんに聞いたんだ

……聞きたいことは山ほどある
だが、翔がどうしたいかを聞いた方が早いな

学費、払ってくれるなら払ってよ
後は勝手にやってくから

学費は払う、親の義務だ……せっかく入れた大学だ…

ムカつくな、入れたんじゃねーよ、入ったんだよ
どこまでナメてんだ?

…………そうだな、すまなかった
言葉がわるかったようだ

父さんが、俺に頭を下げてた
意外だよ……

アパートを借りた、バイトしながらなんとか、やってる
意見、求めてない……俺が決めたことどから

そうか……ちゃんと寝泊まりするところがあるなら、安心だ

翔、しっかり食べなきゃ
帰ってきたときぐらい…

母さん、ごめんね、ギリキリなんだよ、
お腹が空くような体じゃ生きてけないんだ……

何で、何でなの?、翔、なんで、そんなに……

姉貴が泣いてた

………笑ってられるほど、人間できてねーし、そんな、人間になりたくもねーよ
被害者面つてっけど、俺からしたら加害者だぜ……

翔、美樹だって辛いんだ…

………俺は、どうでも良いんだよな?

そんなことは言ってない!

なら、どうすんだ?
ヘラヘラ笑ってろって言うのか

翔!、いい加減にしろ!

怒鳴るなよ、拳で話すならやったるぜ…

親父も俺も、立ち上がってた

止めてください!、アナタ!

母さんが叫んでた
姉貴は泣きじゃくってた

……姉貴は家族だからか?
俺の……家族になったかもしれない女性はどうでもいいーってか?
何様だよ、アンタ…

翔、お父さんになんて事を言うの!

……ここに、俺の居場所はないだろ?
泣き寝入りする、勇気もねーよ
ガキだから、どうにもできねーよ
だからって、それで納得しろと家族が言ったら、俺はどーすりゃぁ良いんだよ!
…………見せ掛けの幸せなんか要らねーよ

……車、出来てる、取りに行け
家賃も父さんが払う……

要らねーよ、車どころじゃねー
生きてくのに必死なんだ
じゃあね

翔、待って、どこに住んでるの?

………ほっといてくれよ、
俺、嫌いなんだ、この家族……

翔………

……好きにさせなさい

アナタ!

翔は、バカじゃない……大学に通わずに、フラフラしてるなら、ぶん殴って連れ戻そうとおもったけど、
事務局に聞いたら、ちゃんと、出席してたよ…
翔の、好きにさせるのが一番だ

そんな、まだ、翔は、子供なんですよ

地方からの生徒は、みんな独り暮らしでやってるさ
翔…父さんたちを嫌うのは構わない
だが、親なんだ、お前の親なんだよ
仕送りはさせてくれ
お前の口座に振り込む
学費も払わせてくれ………親として、そうしたいんだ

………返事もせずに、家を出たんだ

母さん、泣いてたな

…………

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