《MUMEI》
―――男の子
誰かが入ってきたのは分かっていた。




ただ昨晩の飲み疲れで億劫すぎてそのまま寝た振りを決めこんでいただけ。







――おそらく俺みたいに早く来すぎた役者だと悟った。





薄く目を開けるとかなり若そうな男の子が映る。




今時の服装にジャラジャラしたアクセサリーの数々…。




鏡に向かって髪を直しているみたいだ。




今時の男の子は女の子と変わんねーなあと感じる。




俺が10代の頃なんざアクセサリーつけてんのはパンチ頭の兄ちゃんばっかり。




ゴールドでぶっ太いネックレス首に下げて、肩振って歩く意気がった奴位なモンだった。

すると男の子は俺の方に歩いてきた。


俺は思わず目を瞑り、とっさに鼾まで出してしまった。

何でそうしたのかは分からねえ。
何となく…そうした。



男の子は俺を避けて壁際に行きペタンと座り込んだ。





そして携帯をいじり出す。






時々薄目を開けてはどのタイミングで起きようかと葛藤する。







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