《MUMEI》
ジュリさん
マジかよ……嫌だなぁ…

ジュリさんを、迎えに行ったんだよね

金曜日の夜だったから、少し車が混んでた

ここだ……

高そうなレストラン……の、駐車場…

ジーンズ姿の俺…

そのうち出てくるらしいけど……

はぁっ、何やってんだろ、俺…

私をフッタんだから、やりなさいよね!

マオミさん、目が赤かったな…
断れなかったよ…

やれるんだったら、マオミさんでも良かったかも

……でも、付き合ったら絶対めんどくさい女だよなぁ
それに、派手すぎだしさ

そんな事を考えてたら、ジュリさんが、レストランから出てきたんだ

何があっても、迎えに来たと言って連れて帰れ、か……

あっちゃぁ、男がジュリさんを、追って出てきてるよ……

ジュリさん、迎えに来たよ

さぁ、どうとでもなれ!
腹を括って、声を掛けたんだよね

翔……ん、ありがと…

なんだ、君は?!

……いこう、ジュリさん

……うん

待て、ジュリ、話そう

もう、話したでしょ?

もっとよく話そう

………もうムリ、サヨナラよ

ジュリ

ジュリさんの手を掴んだ男の手を掴んだんだ

……止めなよ、みっともないよ

なんだ、ガキが、黙ってろ!

アンタが俺の立場なら、黙ってるの?

なんだと?!
ぐあっ……

喧嘩は止めようよ、俺、強いよ…

ぐっ、は、離せ!

冷静になってくれるなら、離すよ

そう言って、男の腕を離したんだ

握力あるんだよね、俺、
それなりに鍛えてるしさ

冷静になったのかな……感情的じゃなかったな、この男

ジュリ、また、連絡する

もう、会わないわ

連絡するからな

……サヨナラ…

ジュリさん、俺の車の方へ歩いて行ったんだ

助手席のドアを開け、ジュリさんを乗せた

そして、走り出したんだけど

高級車が並ぶ駐車場で、軽自動車かぁ
カッコ悪いよなぁ…

呟いた俺に

学生だもん、じゅうぶんでしょ、って

でも、顔が、なんか辛そうで…

ジュリさんのお気に入りの曲を掛けたんだ
ボリュームを上げて

そして、首都高に乗って、横浜方面へ走らせた

会話はない

ジュリさんも見ない

………泣いてそうだから

…………

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