《MUMEI》 桜吹雪の中で。木の下で。 木を背もたれにして、二人で座っています。 「これが………桜?」 不思議そうに頭上から降ってくる桃色の花びらを眺めています。 「そう、綺麗でしょう?」 「……うん。頭に桜、ついてる。」 自分で取ろうと髪に触れるけど…ついてる気配がない。 「じっとしてて………。」 しばらくして…………………。 「取れたよ。…そろそろ戻ろう?勉強の途中だし………。」 龍瑛は丘を降り始めました。 「うん、文を書けるようになったら次は道具とか教えてあげる!便利なんだよ!」 彼は振り返ることもせず足早に帰ってしまいました。 ……気に入らなかったのかな………? 龍瑛は先に自室に戻り、私は手を洗うため、水を桶に入れていると 「あ…………。」 水面に浮かぶ私の顔。髪に結ばれた桜の花。 私より彼のほうが器用なんだ……。 手を洗うと彼の部屋に向かいました。 頭に桜の花をつけたまま………。 前へ |次へ |
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