《MUMEI》
大好き
龍瑛は充分この世界で生きていける…
最近思うんです。一年も要らないじゃないか、と。
今ならただの居候のままで別れられる。
けど一年もたったら家族みたいになっちゃう…。
そうしたらお互い別れるのが辛くなる。
だから今日、言おうと思うんです。
お別れを。
初めてあったとき一年間って言ってたけど…大丈夫だねって。

龍瑛の部屋に入るといつもの笑顔で出迎えてくれました。
良心が疼く…………。
ここは言わないと…!

「ねぇ…龍瑛。あなたはもう充分この世界で生きていけると思うの。これ以上一緒にいると別れが辛くなるだけじゃないかな。」

龍瑛の大きな目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

「俺の……こと、嫌いになった…?」

違う。

「俺が……嫌なこと…した?」

違う。

「俺が…消えてた方が……いい…?」

「!!?えっ?」

「人間に見捨てられた龍族は石に戻って……百年の間、羽化のための準備をするんだ…。」

石のまま百年!?

「けど、俺が邪魔なら…仕方ないか…。独りぼっちは嫌だけどな…」

「ダメっ!龍瑛が消えちゃうなんて……私、知らなくて………。」

「嫌いじゃないの…?」

「大好きだよっ!」

安心させようと笑顔で答えます。
すると龍瑛は私を抱き締めて

「俺も…大好きだよ。」

と私の耳に囁いた。

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