《MUMEI》
Angels'Battle
「次、経験記録ノートについてご説明します。
 そこは、ゲームでいうセーブデータの確認やあらすじといったようなものです。
 対戦した相手、今まで行ったことのある場所…。
 そういった情報が記録されています。
 もちろん、セーブもすることができます。
 セーブをすると、端末のマップにセーブした場所が記録されます。
 ログアウトし、現実に戻った後、またこの世界に戻ってくるとき、
 その場所に戻ってくることができます。
 他には、死亡した際、蘇生アイテムを所持していた場合、そのセーブポイントで蘇生することができます。」

「…死亡って…;;」

「蘇生アイテムなんてものまであるんだ」

「俺、ここで一応セーブしとく」

経験記録ノートのページの一番下にある、『セーブ』をタップした。
すると、まるでエレベーターの時のように、一瞬軽く感じたり、重く感じたりした。

「これで、セーブが終わったのか…」


「では、その次、この世界の事をお話ししましょう」

エドガーがパチンと指を鳴らすと、モニターが現れる。
…毎回指鳴らすんだ…。

「まだ、このゲームの名前を言っていませんでしたね。
 このゲームは、史上初の、異世界で行うゲーム。
 その名も、『Angels'Battle』(エンジェルズバトル)!!」

「天使の戦い?俺達死ぬのか?」

「さぁ…それはないんじゃないの;」

「このゲームは、自分が死んだらゲームオーバー。
 勝利する方法は―――――貴方が神になること!!」

会場がざわめく。
人の声で溢れかえる。

「ちょっと…このゲームヤバいんじゃないの…?」

「人体実験でもやるつもりかよ…!!」



「世界には世界を生み出した神が信じる理が存在している。
 理は世界によって違ってくる―――。
 この世界は、最強の種は人類。
 世界となった神はその世界から新たな神が生まれるまで消えない。
 よって、この世界から、神になりうる条件を揃えた人間をここに集めた。
 それが、このゲームの世界だ。」



「ちょっと待て!!!ゲームに参加しなかった人はどうなってるんだよ!?
 俺にはゲームに参加しなかった弟がいるんだよ!!」


椅子から立ち上がって秘書たちに向かって男が叫ぶ。


秘書は、表情一つ変えず、

『参加しなかったものは、すでにこの世には存在していない』

冷たい声色で、確かにそう答えた。

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