《MUMEI》
霊感
美樹と優香は、まだ気絶したまま起きてはいないようだ。

心配ではあるが、話を聞かれずに済む為、逆に好都合でもある。

これ以上、この二人に妙な不安は与えたくはない。


司は二人が寝ている事を確認すると、再び洋平に視線を移す。

洋平は難しい顔をしながら、さっきの質問の答えを探していた。



「俺、霊感とかないけどさ…」


下を向いたまま自信のない様子で、それでも自分なりの答えを見つけたのか、洋平はたどたどしく喋りだした。


「アレは幽霊なんて生温いモノじゃないと思う…。」

「じゃあ…?」

「何かとはハッキリ言えないけど、とにかくヤバい…。
殺気が半端なかったんだ…明らかに殺そうとしてた。ターゲットは…」

「流れからして井上、か…?」

「多分な…。」

「でも何でそう思う?殺されるだなんて…」

「ソイツ、斧持ってたんだよ…。
血がベットリついた、錆びついた斧だった。」

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