《MUMEI》

ケバい彼女さんと、ポッチャリ彼氏さんが来たんだ

マオミさん、席を譲って、俺の右となりに来たんどけど

ごめん、翔、変わって

俺の膝の上に一回座ってから、俺とマオミさんの、間に移動したんだ

随分警戒してんのねぇ

……マオミさんの言葉に

危ないもん

ジュリさん、そう言ってたんだ

バカ男は?

マオミさんの質問に

喧嘩してるよ……マオミも行っちゃったでしょ?

ケバい彼女さんが、そう答えてたんだ

ごめんね、翔くん

俺に謝ってきた、ケバい彼女さん…

ほら、アンタも頭下げなさいよ!

な、何で俺が…

別れたいの?

な、何でそうなんだよ!

ポッチャリ彼氏さんと喧嘩はじめてたんだ

俺…お好み焼き焼いてたんだ
切り分けて、配って

人の喧嘩聞いてても、つまんないから
そっと、ジュリさんの手を握ってみたんだ

そしたら、チラッと俺を見て、手を握り返してきたから、指を絡めたんだ

誰にも気づかれてない
ちょっと、楽しい

……バカにし過ぎよね

マオミさんが突然そう言ったんだ

二人の喧嘩が止まった

よく、触れるよね、キャバクラでも怒られるわよ
最低よね、悪いけど、私ももう、参加しないわ

あ、あいつは関係ないだろ?
割りと気に入ってるみたいなんだよ、マオミのこと

私は気に入ってないもの

けどよ…

言ったよね?、ジュリが付き合ってても、私は翔を気に入ってるの
先に目をつけたのは私なんだからね!
その、翔をバカにした男なんか知らないわよ!

本当に、東大生なのか?

聞かれたんだ

どうでもよくない?
なにしに来たの?

そう答えた俺に、ムッとしてたな

はっきり言うよ、マオミ、私の顔を立てるために来てくれてたんだよ
ジュリは、昔からその辺クールだから、帰っちゃうけど…
この前来てくれたのだって奇跡なんだからね!

んだよ、男との出逢いほしくて来たんじゃねーのかよ

そう見えたの?

ジュリさん、ポッチャリ彼氏さんに真顔で聞いてた

………彼氏一番なのはわかるけど、会うときは女だけで会おうね、もう、ムリ

ジュリさんの言葉に

私もそうするわ

マオミさんが賛同してたんだ

行ったの?

俺…ジュリさんに聞いたんだ

……お礼がてらね

お礼?

鈍いの?…

………そっか
黙ってたんだ?

……付き合う前よ

あれ?……

ごめん、本当はね、そんな話を耳に入れたら慌ててくれるかなって…

そっかぁ

……変わったね、ジュリ
自分から攻めることなんか無かったのに

ん……貴女と同じよ、私は翔が一番なの
翔だって、自分のみてる前で私が触られたら気分悪いよね
なのにさ、こうやって、私を気遣って手を握ってくれてるんだよ

握ってる手をテーブルの上に出されちゃったんだ

ラブラブね、そんなことしてたの?

マオミさんにからかわれた

ムカつくなら喧嘩すりゃぁ良いじゃねーかよ

アンタ、ナメすぎよ
強いよ、翔……そんな下らないことで喧嘩させたくないの
大怪我させちゃったら翔が悪くなっちゃう、だから、もう参加しないわ

優男に負けるような…

たぶん、アンタより腕力あるよ
聞いたわ、翔くん………

え?……

ありがとうって、変だけど、でも、ありがとうね

マオミさんを見たんだ

……成り行きで話したの、迷惑だったら謝るわ、身体で

ちょっと、マオミ、いいかげんにしてよね!

ほらね……ジュリ、本気なんだよね
変わったね………翔が変えたのかな?

ねぇ、いつからなの?

………なにょ、そんな話しするために来たの?

あ………ごめん、とにかく、ジュリもマオミも、もう呼ばないよ
これ以上迷惑かけれないわ
アンタが友達大事にするのわかるけど、私も友達大事なの……
空気、読んでよ…

あいつ、ちゃんと謝りたいってよ

マオミ狙いの男に言われたからでしょ?
許せることじゃないの、謝られるのも迷惑よ

アンタ、それわかんないなら、私と別れなよね

な、なんだよ……なんでそうなるんだよ!

………

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