《MUMEI》

男の子は表情を固まらせたまま…動かない。





俺はとりあえずムクッと起き上がる。






「…今、何時だ?」



「………あ、え…と……、11時…です」




男の子は慌てる様子も無く、携帯を見ながら時間を告げる。




まだ30分位しか俺は寝てないみたいだ。

でも体は少しすっきりした気がした。



改めて男の子を見る


鼻筋の通った綺麗な顔をしている。





まるで童話の中の王子様みたいだ。




俺がまじまじと視ていると男の子は突然顔を赤くし、視線を下に外した。




うつ向いてしまい、ペタンと正座をする。





何だか良く分からねえが…、面白そうな奴だと興味が湧いてきた。



「携帯見せてみな」

俺がそう言うなり、男の子の躰がビクンと揺れた。



そして…

「あの、ゴメンなさい…、直ぐに消します、本当に……」





俺は男の子が全部言い終える前に、携帯を奪い取る。

するとそこにはバッチリな角度で映る、




俺の素敵な寝顔…。




「何でこんなモン…、俺の寝顔そんなに格好良かったのか?」

すると男の子は突然びっくりした顔で声を荒げた。



「まさか!そんな訳ないじゃないですか!……、ぁ…」






すると男の子はしまった…と言いたげに…





また固まった…。






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