《MUMEI》 「二郎………………?変だよ、おかしい。どうしたの?だって女の子が好きなんでしょ、」 動揺している。 俺は自分でも驚くほど落ち着いていて、怒ったり泣いたりしてたのが馬鹿馬鹿しくなっていた。 「でも、七生に告白されてからは不思議と七生しか視界に入ってないよ。 どきどきするし、近くにいたら触ってほしい。 でもこんな乱暴に扱ってくれないで。 キスを無理矢理したり、羽交い締めにしたり、いきなり精器…………触ってきたり、力任せに好き勝手俺を弄り回してるくせに。 その手首を掴む腕は一度も俺を優しく抱き寄せてくれないじゃないか。」 つい女々しくなってしまう。好きだったら人並みに、いやそれ以上優しくしてあげたいし、してもらいたい…………七生はどこかそういうのが不器用で上手く表現出来ないことも知っている。誠意を尽くせばその分返してくれることも知っている。だから、七生の優しさに触れるのが怖い、解らない振りをしてこの気持ちを偽っていた。 七生は戸惑いながら、俺の手首を解放する。 痺れてきた、血の巡りが良くなって来た証拠だ。 「嫌わないで」 七生はさっきの俺みたいに弱々しく、自信なさ気に言う。 「うん、嫌ってないよ。」 「拒まないで」 「拒まないよ」 「受け入れて」 「おいで、七生。」 子供をあやすようにまだ痺れる手を低く伸ばした。 俺も七生も子供だ、目の前にあるものが欲しくて欲しくて堪らないのだ。 なんて、幼稚だろう。自分を抑えられないだなんて。 前へ |次へ |
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