《MUMEI》

長い事俺達の周りを飛んでじゃれあっていた二人の小人が、それぞれの肩に止まった。

「あぁ、楽しかった。カケル様、只今戻りました。」

「うむ、ご苦労。」

右肩のアイの頭に人差し指を軽くのせて、黒髪を揺らしてやる。すると両目を閉じ、「はふぅ〜。」と息を漏らした。


「さ、あとはボスだけでしょ。」

「ん?おぅ。」

「…まさか、カケル適当に私に歩調合わせてただけ?」

自分でも思う程に、図星という顔をして、しばしの睨み合い。

「ハハハ……。」


笑いで誤魔化すと、ハルはニヤリと笑みを浮かべた。


「まぁ、カケルは私を守ってくれるんだもんねー。指一本触れさせないんだよねー、アルト。」

わざとらしく、ハルは所持精霊のアルト君に話し掛けた。

「へぇ〜。ま、頑張れ。」


同時に二つの目に攻められる。俺はたじろぎ、後ずさった。

「な、なんだよ。いーよ。触れさせねぇよ。」


俺もプイッとそっぽを向き、ボスのいるであろう樹海奥のベルゼフ城へ急いだ。

確か二階だったよな…。

記憶を巡りながら、ボスの居場所を突き止め、足下に魔力の渦を描くイメージで貯蓄していく。

「アイ。二階だよな?」

「間違い無いです。」

その言葉をしっかりと聞き、魔力を放出する。足を曲げたバネの力も利用し、城の二階にあるベランダへと手を伸ばした。

「ほっ!」

城の真横の木に両手をつけ、一、二!と心で数えて、木の枝を一回転。その反動で両手を離し、遠心力任せにベランダに着地。

「また後でな、ハル!」

体勢を立て直してから、くるりと片足で百八十度回転し、にこっと挨拶を一方的に交わす。

「ちょっとー!」

また怒られるかもしれないが、嫌な視線を背後に錆びた扉を開ける。割りと重量感があり、伸びたつたでよりそれっぽさが演出されている。

先程木を掴んだからか、痺れを帯びた両手は気にせずに進む。すぐに長い廊下が続き、所々に個室が設備されている。そのどれもがゲーム画面でよく対面するものだ。

しかし、こんな個室が列なる階に大広間…つまりはボスが出現する場所があるものか?


「…アイ、本当にこの階か?」

「間違い無いです。」


ふと足を止める。


「アイ?」

「間違い無いです。」

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