《MUMEI》

電話もメールもない日が続いてた

俺も、なんの連絡もしてない

終わるのかなぁ?……そんなことを考えてたんだ

木曜日の夜だった

マオミさんから電話が来たんだ

無視したんだけど、何度も来るから、電話したんだ

いまどこに居るの?

ん、帰宅したとこだよ

家にいたけど、そう、嘘をついたんだよね

そしてら、今から行くからって…

うわっ、早い、
電話を終えて、2分でインターホン鳴ったよ

上がるわよ
ほら、ジュリ、来なさいよ!

ジュリさんも、一緒なんだ……
会いにくいな……なんかさ…

アイスコーヒーを出したんだ

わりと綺麗にしてるのね?

マオミさんが、言ったんだ

テレビも買ったし、クッションとかもある
ジュリさんが、小物を買い揃えてくれたから

喧嘩の理由はなに?

マオミさん、そう聞いたんだ

喧嘩なのかなぁ?

………翔、ジュリを理解してる?

……意味がわかんないんだけど

見てられないのよねね……
仕事も休んでるのよ
翔、話してよ、私に聞かれたくない事だろうけど、ほっとけないの

元彼と会ったんでしょ?

会ったわよ、始まるわけもないわ
私の気持ちが、もう、終わってるもの

向こうは未練たらたらなの?

私の話はいいわよ、いつでも出きるわ、そんな話し

アケミさんは?

……はぐらかさないで

聞きたいんだよ

……一応、仲良くやってるわよ
これからね、どうなるかは
彼氏的には、キツイ話だものね

……そうだよね、でも、アケミさんが話してくれたことは嬉しいかもね
それを、受け止められるかは、また、別の話だけど

……そうね、好きなら好きなほど、ヘビーよね

隠し通す優しさもあると思うけど…
正直、わからないよね
どっちが正しいかなんて…

………そうね、

俺とマオミさんが、話してる間
ジュリさんは、一言も口を開かなかったし、目も会わせなかったんだ

…………

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