《MUMEI》

ガチャリ



鍵を右に回し、扉を開ける




大丈夫 大丈夫






「ただいま。かあさん、居るよね?」





ついつい疑問系になるのはいつものこと




「かあさん?」




リビング、トイレ、風呂


何処にもいない




リビングの隣の襖を開ける





「やっぱりここにいたの…」




かあさんは、とうさんの写真と向き合っていた



いつも そうだ




とうさんはもういないのに



かあさんの心は囚われたまま

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