《MUMEI》
第三者
マオミさんに呼び出されたんだよね

金曜日の番だった

眠いのに……
今朝早く、ジュリさんを送り届けてさ……寝てないんだよね

なぁに?

素っ気なく聞いたんだ

……なに考えてるの?

何が?

好きなんでしょ?ジュリのこと…

うん

…とにかく、呼んだから、しっかり話し合ってよ

話し合いにならないんだよね、
ジュリさん、なんも話してくれないからさ

……あんなジュリ、見たことないわ
きっと、戸惑ってるのよ…

そこに、ジュリさんが来たんだ
けど、あの男が一緒だったんだ

マオミさんも、驚いてたな…

君が、翔くんかい?

中年男に聞かれたんだ

失礼な人だね…名乗るのが先じゃないの?

名刺を出したんだ

バカだろ?

受け取らなかった

お仕事しに来たのかい?

喧嘩腰だね
とにかく、ここじゃなんだな
お店に入ろうか?

ジュリさん、なにしに来たの?

男を無視して聞いたんだ

……話したいって、言うから

どうしちまったの?

え?……

……俺と話すのは、ジュリさんだろ?
違うの?

とにかく、ここじゃなんだから
近くに良い店があるんだ、そこで話そう

みんなを促した、中年男

でも、俺は足を止めてたんだ

話す気がないのかい?

中年男に聞かれたんだ

貴方に用はないからね
ジュリさん、何をうろたえてるの?
何をしてるかわかってるの?

とにかく、きたまえ

断る、ジュリさん
俺に用があるなら、自分の言葉で話しなよ……マオミさん、俺、帰るね

翔……とにかく、話ぐらい聞いたら?

無意味だよ

決めつけないで、私が翔を、呼んだのよ、私に付き合ってよ

………マオミさんも、見えてないんだ?

見てるわ、無駄なのもわかってる、それをジュリにわからせるために行くのよ

……わかるかな?

わかるは、いつものジュリを取り戻せればね
取り戻せなければ、ジュリに用無いんでしょ?

マオミさん、そう言ったんだ

………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫