《MUMEI》

中料理店の個室だった

並んだ料理に手をつける事もなく、それは、マオミさんも同じだった

食べなさい

食事しに来た訳じゃないわ
私が翔とジュリを呼んだのよ、
アポなしで来た貴方の用件を聞くわ

……ジュリから、翔君のことは聞いてるよ
なにか、誤解があるようだから、
それを、なくすために来たんだ

誤解?

俺の言葉に

そうだよ、私が転勤になってね
積もる話しもあって、ジュリと話してただけなんだ
君の想像してるようなことはないよ

どこまでバカなの?
アンタ、いくつ?

私の何がバカなんだい?

わからないの?
ノコノコ出てきて、優しいふりしてもさ、
それは優しさでものんでもなくて、
ジュリに対するアピールでしかないでしょ?
だいたい、昔の男が今の男になにか話したところで、耳を貸してもらえると思ってるならウノボレだよ
ジュリさんに、相談されたのかもしれないけど、自分にできることは無いって言うのが、本当の優しさだし
昔の女に対する思いやりだよ

そうね、翔の、言う通りだわ
狙いが何なのかは、しらないけど、マヌケね……

失礼な人達だね

失礼なのは貴方でしょ?
一言もなく、なに参加してんの?
二人を読んだのは私よ、挨拶すら無かったわよね?

……べつにさ、昔の男と会ったからどあこうじゃないんだよ?
寝てたった、それはジュリが選んだ選択肢なら、話すことはたくさんあっても、それはそれだろ?
俺に嘘をついて隠す理由にはならないよ

そうね、私もそう思うわ
会うなら会うと話せば良いだけだもの

まぁ、ワザワザそんなことで出張ってくるんだから
ジュリさんに未練あんだろうな
自分は良い人ですってアピールしたいんだからさ

そうね、だいたい、昔の男が出てきたら、どんなに紳士的に話しても感情は、また、違うものね
それ、狙ってるの?

温いね、そんなんで今まで渡ってこれたんだ?

そうね、きっと言うわよ
ジュリを、よろしく頼む、とかね

あり得るね、
もう、何も出きることないの、わかってないんだから、温いよ

ジュリ、目を冷ましなさいよ
自分の言葉じゃなきゃ……
嘘でも、何でも、ね……翔と付き合ってるのは貴女でしょ?

ジュリさん、箸を止めてた

俺が恐いの?

ジュリさんに聞いたんだ

暴力を使うのかね?!

中年男が、言ったんだ
そこに、付け入る隙をみつけたのかね?
、ほんと、温いよ……

ジュリ、殴りたりするのかい?

中年男の言葉に

……恐いわ……自分が通用しないから…
嫌われたくない…
……嫌われるのが、恐いわ…

ジュリ、アンタが惚れた男は、その辺の男じゃないのよ
体当たりで勝負しなさいよ、
じゃないと、後悔するわよ
ジュリが要らないなら、私、諦めないよ………絶対お似合いだと思う
でも、ジュリがジュリでなくなるなら、時間の問題よ、別れるの…

良いとこばかり見てないよ
傷の舐め合いも求めてない
何をしてるの?、ジュリさん…

………そうね
そうよね…………なにしてんだろ、私…

時間のムダだよ、

うん、そうよね、

ジュリさんが立ち上がったんだ

そして、俺が立つと、マオミさんも立ち上がったんだ

俺、テーブルに一万円札を二枚置いたんだ

三人分、置いときます

金なんか要らないよ、せっかくだ、食べていったらどうだい?

中年男の言葉に

ごめんなさい、私…どうかしてた
一分一秒が勿体ないの、ごちそうさま

そう言って、ジュリさん、昔の男に頭を軽く下げたんだ

金は受け取れないよ

中年男の言葉を無視して個室を出ようとしたんだ

待ちたまえ!
きこえなかったのか?

悪いね、アンタに世話になるいわれはないし、部下でもない
敬語じゃないのは見下してるからだ
気分を害したのはお互い様だろ?
それに、アンタの使える金より、たぶん俺の方が金あるよ

そう、言葉を残し、個室を出たんだ

…………

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫