《MUMEI》

店の外まで中年男が来たんだ

子供から金は受け取れないよ

俺のポケットにお金を返そうとした男の腕を掴んで、ねじりあげたんだ

失礼な人だね、気安く触れるなよ

そして、突き飛ばした

ガキだな……ジュリが社内で気まずくなるだろ?
自分のことしか見えてないようだな

中年男の言葉に

私は別に気まずくないわ

そう、ジュリさんが言ったんだ

寝る気だったの?

ジュリさんに聞いたんだ

そんな気、ないわよ

迫られたろ?

………そうね

惨めだね、追い掛けて来なきゃ、恥もかかなかったのにさ

……寝てないからね?!

ゆっくり聞くよ、ジュリさんが、自分の言葉で話してくれるならね

お願い、呼び捨てにして

ん、まだ、しない
ちゃんと喧嘩したいから

うん、マオミ、付き合わせていい?
二人きりだと、怖じ気づいちゃうの

なんで?

隠そうとしてることがあるから

そっかぁ、だから嘘が、必要だったんだね?

うん……

マオミさん、巻き込んじゃうね

構わないわよ、そのつもりだったし

ありがとう、マオミさん
本当の優しさを知ってるんだね

……お礼はしてもらうわよ

うん、行こう

マオミさんに答えて、ジュリに手を伸ばしたんだ

な、仲直りしてから、手を繋ぐわ
ケジメ……つけなきゃ

そうだね、

でも、ジュリさん、ピッタリ俺の横を歩いてたんだ

…………

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